クールな御曹司の契約妻になりました

今日は一日ぼんやりと過ごした。

身体のあちこちに残っている小さな赤い花びらのような跡を見つける度に、昨夜の情事を思い出す。

そして千裕さんの声で頭の中でリフレインする『後悔』という単語。

はぁぁぁ。

もう今日は何度、こんな重たい溜息をついたのかすら分からない。


ノロノロと鉛のような身体を動かしながら、家事を一通り済ませたのは、もう午後3時を回っていた。

初夏の昼下がり。太陽がまぶしい位に輝いている。


「社長に、様子を見に行くように言われました」

自宅内の事務所にやってきたのは、成松さん。

応接セットに二人で腰を下ろして向き合うと、成松さんは私を頭からつま先までゆっくりと視線を一巡させる。



成松さんの視線が、私の首元で止まったので私は思わず身を小さく縮こまらせる。

首元には、3つの千裕さんの跡が残っていたからだ。

きっと隠そうとしても無駄な抵抗なんだけど。
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