クールな御曹司の契約妻になりました

この料理、どうしよう。

目の前の豪勢な料理を見ながら途方に暮れた。


『香穂、今夜帰ったら大事な話がある』

千裕さんが家を出る前に私にかけた言葉をふと思い出した。

私にとって素敵な話なのか、それとも悪い話なのかすら深く考えもせずに作ってしまったたくさんのご馳走。

千裕さんが喜ぶ姿を見たい、おいしそうに料理を食べて欲しい。

ただそればかり考えてしまったんだった。

昨日の情事は、確実に契約不履行。

契約解除を言い渡されても仕方がない状態なのに、浮かれて私何してんだろう。



「バカだな、私」

自分自身の後先考えない行動に呆れ果ててもはや笑いすら出てくる。
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