クールな御曹司の契約妻になりました
「あっ!!奈々未さんだぁ」

茶髪にボブスタイルで小柄な奈々未さんが、階段を昇った先に佇んでいる。

大学の頃から、いつもスカートスタイルで可憐なイメージなのに、今日は少しだけ印象が異なる。

上下グレーのパーカー姿でカジュアルとも違う、ラフな格好だ。


「奈々未さん、今日、お仕事お休みですか?今夜、千裕さんが帰って……」

両手いっぱいの荷物を抱えて私が階段を昇りながら、奈々未さんに話しかけていたけれど、頂上にまでたどり着いた時、私は言葉を失った。


だって、これまで見たことない程、奈々未さんは思いつめた様子で、真っ青な顔をしていたからだ。


ううん。それだけじゃない。

奈々未さんの手には、銀色に冷たく光るナイフが強く握りしめられていて、その刃先は紛れもなく私に向けられていたからだ。


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