クールな御曹司の契約妻になりました


「社長のことだって。二階堂社長のことだって。あんたより先に私が好きになってたのに!!愛なんかない金目当ての契約結婚のくせに」

『契約結婚』
その言葉に背筋が凍る。

どうして、奈々未さんが知っているの?

奈々未さんはきっと私の表情が愕然としたものに変わったのを見逃さなかったんだ。

勝ち誇ったように声を高らかに笑う。

「ずっと社長とあんたの結婚が不自然だって思ってたの。だから、成松室長のデスクを調べたの。そしたら、あんたが交わした契約結婚の書類が見つかったってわけ」


「じゃあ、もしかしてあのFAXは奈々未さんが……」

「えぇ、そうよ。それから郵便も、わ、た、し」

足元が揺らぐ感覚に襲われる。

契約結婚をして久しぶりに会えた先輩の奈々未さんに心を許していたのに、裏切られた。

目の前から光を失った気がする。


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