クールな御曹司の契約妻になりました
「香穂っ!!」」

もう私の人生は終わりだ。

そう思って力いっぱいに目を瞑ると、いつもの聞き慣れた声が聞こえてきた。


あぁ、千裕さんの声まで聞こえてくるなんて。
私、余程千裕さんのこと好きになってたんだ。


「お前、香穂に一体何してる？」

聞き慣れたはずの声が聞いたこともない程低く切羽詰まったトーンになって私の至近距離で聞こえてくる。

思わず目を開けると、そこには千裕さんの姿があった。

どうして、ここに？

まだ帰ってくるはずのない時間なのに、そこには紛れもなく私が待ち焦がれていた千裕さんが居る。

「香穂を驚かせようと思ったら、声が聞こえてきたから。それより話はあとだ」

千裕さんはそう言うと私と奈々未さんの間に割って入るようにして立ち、殺気だっている奈々未さんと対峙した。

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