クールな御曹司の契約妻になりました
きゃぁぁぁぁ。

私だったのか、それとも奈々未さんなのか分からない悲鳴のような声が辺りに響き渡る。

一瞬の出来事。

ナイフを振り上げ迫ってきた奈々未さんが、私と千裕さんにナイフを振り下ろした瞬間。


あったはずの地面がなくなって、私は宙を舞った。

もちろん、私を庇うように立っていた千裕さんと一緒に……。

あっという間の出来事のはずなのに、すごく長く、それがスローモーションの世界に居るかと思えるかのように感じた。


さっき昇ってきた階段を転がるように落ちていったと気が付いたのは、体に激しい痛みを覚えながら地面に叩きつけられた後だった。


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