クールな御曹司の契約妻になりました
契約解除通告!?
身体に痛みを感じて、ゆっくりと目を開く。
昼なのか夜なのかもわからない部屋の真っ白は天井には蛍光灯が明るく灯っていて、部屋はやけに独特の消毒の匂いのする。
ここって……
ぼんやりとした視界に、ふと見慣れた人影が入ってきた。
「大丈夫ですか?香穂さん」
成松さんっ!!
見たこともない程憔悴した表情を浮かべた成松さんが、横たわった私を覗き込んでいる。
徐々に鮮明になってきた意識の中で、私は頷く。
「ここは病院です。香穂さんは、意識を失ってここに運ばれました」
奈々未さんの逆上した表情、鈍く光るナイフ、やけに大きく見えた千裕さんの背中、それから千裕さんから流れていた大量の血液。
意識を失う前に見た景色の一つ一つが鮮明に蘇ってくる。