クールな御曹司の契約妻になりました
結婚式は、広報業務!?
4月1日。
桜が舞い散る街並みをリクルートスーツの新社会人が、満面の笑顔でインタビューを受ける姿が控室に置かれたテレビのニュースで流れている。
そのニュースを横目で見ながら、ファッション雑誌でよく見かける有名なスタイリストに私は真っ赤な口紅を塗られている。
「お美しいですよ。二階堂社長もきっと、あまりの美しさにビックリされるでしょうね」
スタイリストが刷毛で私の頬を撫でながら、メイクの仕上げを行っていく。
鏡越しに視線が合ったスタイリストが発した言葉に、私は曖昧に笑顔を浮かべて見せた。
二階堂社長とは、未だ会ったこともないなんて口が裂けても言えない秘密だったから。