クールな御曹司の契約妻になりました
「千裕さんこそ、助けてくださってありがとうございます。千裕さんが居なかったら……」

涙声なんてバレバレなんだろうけど、これだけはちゃんとお礼を言っておきたかった。

だけど本当に千裕さんが居なかったら、きっと私今頃……。


そんなことを想像すると、体が一気に寒さを覚えて指先から小刻みに震えてしまう。

ギュッと力強く拳を握ると、暖かな千裕さんの手が私の拳を上から包んだ。

「もう大丈夫だから」

千裕さんはそう言って、目を細めてにっこりと微笑む。

千裕さんの笑顔は最強なのかもしれない。

私にとってはたったそれだけで安心感を覚える。


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