クールな御曹司の契約妻になりました

「千裕さん、だけどあの時間にどうしてあそこに居たんですか?」

千裕さんが帰ってくるのは、夜の予定だったはずなのに……

「本当は一度職場に帰って簡単な仕事を済ませてから、うちに帰る予定だったんだ。だけど、一刻も早く香穂に会いたいと思ったんだ。それに……」

「それに?」

一瞬、言葉に詰まった千裕さんの視線が宙を彷徨う。

「椎原さんが夕方帰国すると秘書室に連絡を入れた成松に『午後から有給休暇を取りたい』と電話を受けた椎原さんが言い出した。その時点で俺も成松も何か彼女が香穂に対して行動を起こすんじゃないかと考えた。彼女の行動が、俺と香穂が結婚した頃からおかしいと秘書室では噂だったらしい」

そんなこと知らなかった。

「結婚披露パーティーも秘書室のメンバーは、数人しかリストアップしていないというのに彼女は業務を学びたいと成松に直談判して参加した。残業するほどの業務は任せていないのに、遅くまで残業したり、会社のPCに不正ログインも発覚している」

奈々未さん、そこまでして……
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