クールな御曹司の契約妻になりました
二人であの日食べられなかったメニューを準備して、食卓を囲んだ。

「乾杯」
「乾杯」

乾いたグラスの音が二人だけの部屋に響き渡る。

2人きりの退院祝い。

「美味しいよ、香穂」

千裕さんの満面の笑顔も甘い言葉も私の胸を締め付けるには十分すぎる程だった。

食事が終盤に差し掛かった頃、千裕さんが静かに手にしていたフォークとナイフとテーブルにおいた。

「香穂、退院したばかりですまないが大事な話、してもいいかな?」

重たい口を開くように千裕さんが静かに話し始める。


私はもうゆっくりと頷くしかなかった。

急に喉の渇きを覚える。


「あのさ、俺たち契約結婚辞めないか?」


ナイフとフォークをテーブルに置くことすら忘れてた。
千裕さんの言葉は私の時間を止めた。


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