クールな御曹司の契約妻になりました
契約社員が永久就職
2人の間を流れる時間が止まったかとさえ思えた。
「嫌……」
真っすぐに千裕さんを見つめた私の口から思わず漏れた呟きに、自分で驚く。
えっ?!何言ってんの、私。
こんな騒ぎになったのだから、きっと契約結婚なんて辞めたほうがいい。
萌さんとの不倫騒動よりも大きく取り上げられたのだから、いずれ私たちの秘密がバレるだろう。
それに、これ以上誰かを傷つけたくはない。
分かってる、わかってるはずなのに……。
私、千裕さんと離れたくない。
向かいに座っている千裕さんが涙で滲んで見える。
「香穂……」
千裕さんが困ったように眉尻を下げて私を見つめている。
千裕さんの声も、千裕さんの見せる様々な表情も。
私、千裕さんのことが全部好き。