クールな御曹司の契約妻になりました
駆け込んだ先は、リビングから階段を昇った先の千裕さんの寝室。
結婚当初、自分の部屋も与えられていたのに、いつの間にかこの千裕さんの寝室が自分の一番落ち着く部屋になっていて、逃げ込んだのが寝室だったのも無意識だった。
本当は外に駆け出したかったのに、窓からちらりと見えたのは週刊誌のカメラのキラっと光ったレンズだったせいで、私は外に逃げ出すことを辞めた。
これ以上、騒ぎを大きくしちゃ、絶対ダメた。
ここで私が泣きながら外に飛び出せば、週刊誌の誌面をきっと賑わせてしまうだろう。
契約結婚だと世間をまた騒がせて、千裕さんを困らせるわけにはいかない。
そんなことを思ったからだった。