クールな御曹司の契約妻になりました
だだっ広い千裕さんの寝室の、ふかふかのベッドの上で、両膝を抱えて小さくなりながら膝に顔を埋める。

ダメだ、嗚咽まで出てきてしまう。


千裕さんと一緒に居たい、好き。

こんなに人を想ったこと、初めて……。


あぁ、そうか。
きっと今の私みたいな気持ちがきっと人に憑くんだ。

元カレのユウタさんの後ろに見えた奈々未さんのように。
千裕さんの後ろに憑いたサヤカさんみたいに。

どこかに冷静な自分が居て、そんな考えが沸き起こる。


想いを憑依させてしまったら、ダメだ。

千裕さんにこれ以上迷惑はかけられない。

この想いを捨てて、私は契約結婚を止めることを受け入れる。

それしかない。
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