クールな御曹司の契約妻になりました

朝食を食べ終えた私は、本当は今日着るために何カ月も前から準備していた黒のスーツを横目で見ながら、昨日私宛に届いた淡いブルーのひざ丈の花柄のワンピースに袖を通す。


ワンピースの入っていた小包の中には、小粒のダイヤのピアスとネックレスまで入っていて、小さなメモには『支給品』と書かれ、4月1日にこの服を着てくるようにとの指示が入っていたんだっけ。



今日は4月1日、エイプリルフール。

部屋の隅に置かれた卓上のカレンダーには、そう書かれている。


全てはエイプリルフールで嘘でした。


そうであって欲しいと願うのに、どうやらこれは嘘なんかではなく、現実の出来事らしい。


私はワンピースを着た自分を鏡に映しながら、もう一度重たいため息を吐いた。

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