クールな御曹司の契約妻になりました

うわの空の私なんか気にも留めずに成松さんは控室の小さなテーブルに、さっき終わったばかりの結婚式の写真をいくつか並べ、私にいくつかの仕事の指示を出す。

私が成松さんの指示に返事をしている姿を見ながら、少しだけ安心した表情を浮かべたのは成松さんではなくて、千裕さん。



私と成松さんが話し終えると今度は千裕さんが、私が成松さんに指示された写真とは異なるいくつかの写真を手に取って眺めている。

「成松、俺は今度の雑誌のコラムでこの写真を使うから、準備しておいてくれ。」

「ハイ」


「この写真なら日本庭園もしっかり写り込んでいて、リニューアルも話題になるだろう。他に日本庭園が写っている写真と神殿が写り込んだ写真があれば、データを後で送ってくれ」

「ハイ。かしこまりました」


千裕さんの指示に成松さんがスマホでメモを取りながら、返事をする。

千裕さんの表情は、さっきまでの柔らかなものとは異なり完全に仕事モードの真面目な横顔だ。