クールな御曹司の契約妻になりました


「どうして笑うんですか?」

ムッとした私は、眉間に不機嫌な皺を作りながら頬を膨らませる。

「素直ににっこり微笑んでもらっておけばいいものを……。女子大卒、秘書の資格も取って、あの教授の推薦なのだからきっと大人しい女の子かと思っていたが、俺の見当違いだったかな?」


頭のてっぺんからつま先までじろりと見られながら余裕たっぷりの笑みのせいで私はさらに腹が立ってくる。


「まぁ、香穂の服も生活も好きにすればいい。だが、香穂が俺の妻として生活することが仕事だ。服装や立ち振る舞いもその点を意識しなさい。これは、雇用主からの指示だ」


「……はい」

さすが、二階堂グループの社長。

苛立つ気持ちはあるものの反論できなかったのは、千裕さんの言葉に冷たい棘があって、嫌と言えない威圧感があったからだ。

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