クールな御曹司の契約妻になりました
「で、でも、千裕さんはまだしも、成松さんが私のことそうやって褒めてくれるなんて想像がつかないです」
恥ずかしくなった私は話をすり替える。
秘書の成松さんとはこの1か月半、もしかしたら千裕さんと話す時間より長い時間電話やメールをしたり、話をしたりしているのかもしれない。
成松さんは自宅にある事務所内で、時間があるとフラリとやってきては私に仕事の指示を出す。
忙しい日には、メールや電話で進捗状況を確認し、次の仕事の指示を出したり千裕さんの近況を教えてくれる。
私的なことは一切喋らず、表情一つ変えずに指示を出すから正直取っつきにくい印象だし、私のことを褒めるなんて想像できない。
この1か月教え込まれたのはお付き合いのある方のプロフィールを覚えたり、千裕さんのスケジュールを確認すること。
それから成松さんが手配した料理教室と着付け教室、英会話教室に通わされ、毎日が慌ただしく過ぎていくという日々に、どうにかやっと慣れてきたところだ。