クールな御曹司の契約妻になりました

「5年間、約束したから逃げませんよ」

照れくささをごまかして、冗談交じりに伝えると、千裕さんは苦笑する。

「まぁ、俺も香穂に逃げられたら困る」

本気とも冗談ともとれない千裕さんの言葉が私の胸を揺らす。



照明に照らされたよく手入れされた日本庭園を眺めながら食べる京懐石はお腹も心も十分に満たしてくれた。

なにより千裕さんと一緒に過ごせる時間は、私の中で緊張の時間から楽しみの時間へと変わってきている気がしている。



最後に出てきた季節のフルーツが、高貴な器に品良くのせられた水物が運ばれてきたから、私はまたスマホのカメラに収める。

そんな様子を、楽し気に千裕さんが眺めていて2人の間に穏やかな時間が流れていた時のことだった。

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