クールな御曹司の契約妻になりました
□□□
週刊誌が発売され始めた2日が経った。
その日の夜遅くに千裕さんは、自宅の周囲に張り付いているカメラマンに気が付かれないようにしてやっと帰ってきた。
「おかえりなさい」
これまでに見たこともない位ひどく疲れた顔している千裕さんを私は出来るだけ笑顔で出迎える予定だったのに……。
私の笑顔を凍らせたのは、千裕さんの後ろに憑いている女性も、千裕さんと同じ、ううん、それ以上にひどく険しい顔をしているのが伝わってきたからだ。
右でもなく、左でもない、ちょうど千裕さんの真後ろに憑いている女性がはっきりとは笑からないけれど、それが不倫スクープをされた萌さんではないことだけは分かる。
だけど、不思議。
私がこれまで出会った人の中で、ちょうど真後ろに女性が憑いている人は千裕さんだけ。
その女性に対して恐怖感も感じなければ、その女性が守護霊のように千裕さんを守ってくれているような感じもしない。
ただただ千裕さんと一緒に過ごして、楽しみも悲しみも一緒に味わっているようなそんな感じだ。