クールな御曹司の契約妻になりました

「カモミールティーです」

優しい香りのするカモミールティーを２人分用意して、私は近くのオッドマンソファーに腰を下ろす。

「あぁ、サンキュ」


口元に笑みを浮かべた千裕さんだけれど、いつものように瞳の奥に力強さはない。

いつも自信満々の言葉だって、余裕のある口調だって今日は息を潜めていてなんだか別人のようで心配になる。


「仕事、忙しかったんでしょ？カモミールティーは疲労回復に効果があるらしいので」


「あぁ、ありがとう。」

千裕さんはカモミールティーを一口口にする。


「香穂にも今回の件は、迷惑をかけてしまって申し訳ない。俺の詰めが甘かった」


萌さんとのことは否定しないんだ……。

胸の奥がざわつく。