クールな御曹司の契約妻になりました
「今回のことは、実は会長がかなり怒っているんだ。こんなに話題になるなんて想定外だったから、社内は対応に追われている」
カモミールティーを飲み干した千裕さんが、重たい口を開くように話を始める。
株価の暴落、連日のワイドショーやネットでの悪口。
私のSNSだって、コメント欄の閉鎖すら考えている状況だ。
「俺は社長として、社員やその家族を守ることが仕事だと会長、いや親父に小さい頃から教え込まれて育ってきたんだ。それが、今は社員がクレーム対応や謝罪対応に追われて、自分の業務すら出来ていない。守らないといけない人たちに迷惑かけてしまっているんだ」
天井を仰ぎ見る様にしながら、千裕さんが喋る。
抱きしめてあげたい。
そんな感情が一気に溢れ出てくるのを、私はどうにか理性で押さえた。