君とチョコと花束と



放課後


私は教室に1人残って日直の仕事を終わらせる。



さっきのバレンタインの話、日誌に書いておこう。




席に座って日誌を書いてると



ガタンッ



突然前の席に人が座る音がして、顔を上げるとそこには




「渡辺くん。どうしたの?」



「部活用のタオル忘れたから取りに来た。吉岡はまだ日誌書いてんの?」



おっそいな〜



と笑っている渡辺くん。




でも急に真面目な顔になって、





「あのさ、さっき昼休みのとき聞けなかったけどさ、吉岡は誰かにチョコあげるの?」




まっすぐ見つめてくるからなんだか緊張しちゃう。



私、顔赤くなってないかな?




「え、えっと。」




本人を目の前にしてあげると言っていいものか迷う。




でも実際あげるんだし、嘘は良くないよね。





「あげるよ。誰かは内緒ね!」



口の前に指を出して、シーッと内緒のポーズでそう答える。




「…ふーん。好きなやついたんだな。」




「え、いまなんて言った?」




小さい声で聞こえなかったけどなんか言ってたよね?










< 7 / 18 >

この作品をシェア

pagetop