君とチョコと花束と
放課後
私は教室に1人残って日直の仕事を終わらせる。
さっきのバレンタインの話、日誌に書いておこう。
席に座って日誌を書いてると
ガタンッ
突然前の席に人が座る音がして、顔を上げるとそこには
「渡辺くん。どうしたの?」
「部活用のタオル忘れたから取りに来た。吉岡はまだ日誌書いてんの?」
おっそいな〜
と笑っている渡辺くん。
でも急に真面目な顔になって、
「あのさ、さっき昼休みのとき聞けなかったけどさ、吉岡は誰かにチョコあげるの?」
まっすぐ見つめてくるからなんだか緊張しちゃう。
私、顔赤くなってないかな?
「え、えっと。」
本人を目の前にしてあげると言っていいものか迷う。
でも実際あげるんだし、嘘は良くないよね。
「あげるよ。誰かは内緒ね!」
口の前に指を出して、シーッと内緒のポーズでそう答える。
「…ふーん。好きなやついたんだな。」
「え、いまなんて言った?」
小さい声で聞こえなかったけどなんか言ってたよね?