チョコとブーケ
彼が、紙袋からなにかを取り出し、私に差し出した。
ミニ、ブーケ??
「早川。俺と結婚を前提に付き合ってくれませんか?」
彼の言葉にぽかんとする。
彼の言葉の意味がわからない。
だって……
「木村、好きな人いるんでしょ?あんなに愛しそうに話してたじゃない!!」
「おまえのことだろ。本人にむかって、なに話してるんだろって思ってたわ。」
「うそだ。それに社内恋愛はしないって…」
「断る口実だろ。」
彼が、笑い出す。
「この状況で信じられないって、お前どれだけ鈍いんだよ。ほんとに、俺の気持ち全然気づいてなかったんだな。」
「わかるわけない。」
木村は社内恋愛をしないから。
期待しそうになるきもちを閉じ込めて。
私の気持ちに蓋をして。
そうやって。ずっと過ごしてきた。
「お前もはっきり、伝えるしかないって言ってたしな。」
木村が愛しそうに私を見つめる。
「早川が好きだよ。受け取ってくれる?」
ぁ。あのときの目だ。彼女のことを 話してたときの。
「ほんとに?」
私はここに、私の恋を終わらせに来たはずなのに。。。
今の状況が信じられなくて。
「あぁ。早川が好きだ。付き合って。」
「はいっ。」
うれしくて、涙が溢れてきた。