チョコとブーケ
2
「「かんぱーい!!!」」

ジョッキを合わせ、一気に飲む。
「やっぱり仕事終わりのビールは美味しいね。」
彼女が笑う。かわいい……。

「最近どう?」
唐揚げをつまみながら彼女がきいてくる。
「んー。まぁ、ぼちぼち。大阪支社立ち上げの件も順調だよ。」

それから、しばらく仕事のことや他愛もない話をした。

「ねぇ、なんで告白断っちゃったの?さくらちゃんかわいいのに。社内恋愛はしないって言ってるらしいけど、付き合ってみたら好きになるかもしれないよ?」

油断してた俺は飲んでたビールを吹きかけた。
こいつに、、こいつにだけは言われたくない。

「好意を持ってくれるのはありがたいけど、好きになれるとは限らないし、別れたら気まずいじゃん。」

「まぁねぇ。でも、入社してからずーっと彼女いないでしょ?」

ずっとお前のことが好きだからなっ。
半分自棄になりながら、心のなかで答える。

俺に、好きなやつがいると言ったら、こいつはどんな反応をするんだろう……
少しは意識してくれるのだろうか……

意地の悪い考えが浮かぶ。

「好きな人がいるんだ。」

「え?!そうなの?!」
彼女がびっくりしてる。まぁ、こんな話するのはじめてだしな。

「うん。結構前から好きなんだけど…」
「だけど?」
「彼女の気持ちがわからない。」

彼女がきょとんとしたあと、クスクス笑う。
失礼なやつだな。

「木村って、すごいモテるから、女の子に苦労したことないと思ってた。……よし、お姉さんが話を聞いてあげよう。」

お前のことだろ。
なんだよ、お姉さんって。同期だろ。
はぁ、全然意識してなさそうだし失敗した………

ほらほら、と楽しそうに急かしてくる。
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