チョコとブーケ
「そんなに鈍い子なら、はっきり伝えるしかないんじゃない?」
話を聞いておいて、ありきたりなことしか出てこなかった。
そんな鈍い子じゃなくて、私を見てくれたらいいのに……
「木村はその子のどこが好きになったの?」
「えっ?」
木村の頬が赤く染まる。
「言わなきゃだめ?」
「だめじゃないけど、聞きたいかなー。」
にやりと笑ってみせる。
聞きたいけど、聞きたくない。
木村が思いをよせるのがどんな子か……
「かわいくて、いろんなこと一生懸命頑張るんだけど、ちょっと抜けてて、守ってあげたくなる。」
あぁ。敵わない。
見たこともないほど優しい目で、優しい声で彼女のことを話すから。木村がどれほどその子が好きかわかってしまった。
「うまくいくといいね。」
「あぁ。」
私の不毛な恋を終わらせよう。
それに、
きっと彼はもうすぐ遠くへ行ってしまう。
離れてしまえば、この恋も終わりにできるはず…