バカな女
5
「新田、次の文読め。」
はぁ。
「はい。」
窓の外を走る人の中に、いる私の好きな人。
走ってる姿なんて、滅多に見ることができないから気分も上がっていたのに。
自分の名前が呼ばれ、仕方なく教科書に目を向ける。
新田 汐愛 アラタ シア
これが私の名前。
この名前は嫌いじゃない。
滅多にいない名前だから。
言われたところを読み終え、窓を見た時にはその姿はどこにもなかった。
「どこいったんだろ…、」
チトセのクラスの人は全員いるのに、なぜかチトセが見当たらない。
そんなことを考えているうちに、授業終了を知らせるチャイムがなって、それぞれがそれぞれの教室に帰っていく。