闇を抱える蝶と光輝く龍
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【晴斗said】
尚が家に来る前、
僕には5歳違いの本当の兄がいた
僕の家は有名なブランドアクセサリーの店を経営していて兄は頭よくて礼儀正しくて物事を要領よくこなすから両親から跡継ぎとして期待されていた
僕とも仲良くて勉強教えてくれたり、買い物にも一緒に行ったりもした
けど、兄が高校に入った途端に家に帰る日が少なくなり、帰ってきても家族とも僕とも話さなくなった
最初は部活で疲れてるだけだと思った
でも、そんな日が何日も続いたので
僕は勇気を出して休日兄が家にいるときに聞いてみた
「兄さん。何で最近帰ってこなかったり、あまり話をしなくなったの?」
すると
兄「そんなのどうでもいいだろ。家に帰るのも、話をしないのも俺の勝手だ」
そう冷たく言った
「でも、父さんも母さんも心配してるし跡継ぎとして期待されてるからなるべく帰ってきた方が─」
兄「うるせぇな!何が跡継ぎだ‼何が期待だ‼勝手にそんなの決められても迷惑なんだよ!家に居れば両親からは期待の目で見られて居心地悪いし、話すことと言えば跡継ぎのことばっかり!それに、晴斗だって俺のこと一人の人間として見てくれねぇし!そんな家に誰が居たいと思うかよ!」
兄は怒鳴り散らした
「僕は兄さんを一人の人間として見て─」
兄「嘘つけ!晴斗だって俺のこと跡継ぎとして期待されてる兄としか思ってねぇだろ!俺と同じ年齢の奴らは青春を楽しんでんのに俺は跡継ぎとして勉強させられてさ。もう、嫌なんだよ!跡継ぎとして見られるのは‼」
兄はそう言うと部屋に入り少しの荷物を持ち家を出ていった
それからは一度も家に帰ってこなくなり、学校も退学していて行方知らずになった