闇を抱える蝶と光輝く龍
【桐人said】


翔「で、結衣はそれから食べ物を食べようとしても食べ物が喉を通らないし、頑張って食べてもすぐ吐くようになったんだ」


そんなことがあったなんて


結衣の過去は俺が思っていたより遥かに残酷なものだった


「でも、なんで翔が知ってるんだ?食べれなくなった理由は家族にも話してないって言ってたぞ?」


確かに結衣は体育祭の時にそう言ってた


翔「あぁ。この事知ってるのは俺ら幹部だけ。まだ家族に言う勇気はないけど、俺らには知ってほしいからって言って話してくれたんだ」


つまり、それほど結衣の過去はすごく辛い経験だったってことか



晴「ゆーちゃんが姫になったときに言った命を懸けないでって言ったのはこの事があったからだったんだ」


舜「ええ。結衣さんは自分のせいで舞さんが死んだと思い込んでいたのでしょう」


晴と舜の言うとおりだ


するとすべての事に納得がいく


翔「なぁ。桐人。もしかしたらお前の倉庫にも手紙があるんじゃないか?」


「え?なんでだ?」


翔「結衣が手紙を書いたのは多分こうなると予想していたからだ。でも手紙のことを洸龍や家族に話すかまでは分からなかったはずだ。それに家族がこの倉庫に来る事はない。とすると洸龍と家族にも同じような手紙をどこかに置いてあるかもしれないだろ?」


確かに手紙には“幹部たちへ”って書いてあったし俺たちや家族のことは一切書いてなかった


「分かった。探してみる」


翔「あぁ。頼む。それから俺らはこれから相原組を潰すために特訓するつもりだけどおまえらどうする?」


どうするか。そんなの決まってる


「俺らも相原組を潰したい。そして、結衣を助ける」


翔「ふっ。そう言うと思った。じゃあ、明日から洸龍と夢蝶合同で特訓しようぜ。その方が特訓しやすいし」


「分かった。じゃあ俺らは一旦帰るな」


翔「あぁ。明日待ってるからな」


「おう。明日からよろしくな」


翔「あぁ」


そして俺らは倉庫に帰った
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