闇を抱える蝶と光輝く龍
「陽菜姉さん、ごめんなさい。私が引き留めてればあんな目には」


陽「違うよ。結衣は悪くない。私が女の子同士で出かけたいとか言ったのが悪かったんだよ。それに、私は生きてるから、ね?大丈夫」


「…はい。でもあの後一回も顔を出さなかったのはなんで?」


陽「あの時ね、私十夜君に助けられたの」


「え?」


陽「最初は本当にやられそうだったけど、十夜くんが突然幹部達を殴りはじめて、私の縄を解いて
「逃げろ」って言って背中押されたの。その後すぐ葵達が来たの」


あの人が助けた?


陽「助け出された後は病院に一週間入院してその後は葵の親戚が経営してるマンションで暮らしてたの。そのマンションは厳重に警備されてるから簡単に中には入れないようになってるからね」


「なら、退院した後ここに来れたんじゃ…」


陽「葵に止められたの。アイツらの居場所が分かるまでは出るなって。まだ狙ってる可能性があるから」


「そうだったんですか」


葵「ちなみに当時あの族は数ヵ月前に総長が死んでいて代わりに総長になれる強いやつ探してて、たまたま夢蝶を抜けた十夜のことを知って半ば強引に総長にしてたらしい。あの後は幹部は警察に捕まったし、十夜も自分から自主したって聞いた」

そうだったんだ


陽「だから結衣は苦しまなくていいんだよ。今まで辛い思いさせてごめんね」

「…よかった。陽菜姉さんが…生きてて…ほんとに…」


私は陽菜姉さんが生きてることに安心して涙が溢れてしまった


葵「おいおい泣くなよ。お前が泣くとどうすればいいか分からなくなるだろ」


陽「ほんとに葵は分かってないんだから。女の子が泣いたらこうするんだよ」


すると陽菜姉さんは私を優しく抱き締めてくれた


私はその優しさにもっと涙が溢れてきて陽菜姉さんの腕の中で声をあげて泣いてしまった
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