闇を抱える蝶と光輝く龍
そうだったんだ


晴「もしかしてしーくんが家に帰るように言われてたのも?」


舜「はい。お見合いのことでした」


そっか。だから連絡先交換してたり名前で呼んでたんだ


舜「それで、少し提案というか、お願いしたいことがあるのですが…」


尚「舜がお願いなんて珍しい!なになに?」


晴「僕も聞きたーい!」


陸「…出来ることなら」


桐「なんだ?」


すると舜は私をチラリと見ると申し訳なさそうにして


舜「……大変申し訳ないのですが、結衣さんに姫を辞めてもらって紗奈を新しい姫にしてほしいのです」


紗「!し、舜くん!私はそんなこと望んでないって言ったよね?」


舜「ですが、紗奈を一人にするわけにはいきません。いつ誰がどこで狙ってるか分からないですし、幹部クラスの彼女と知れれば狙われるリスクも高くなるんですよ」


紗「それは…そうかもしれないけど…でも…」


紗奈は私をみながらモゴモゴしてしまった


晴「…それは無理かな」


晴はさっきとは違う低い声で言った


「は、晴。落ち着いてね?」


冬休みのことが頭を過り私は内心ハラハラした


晴「大丈夫だよ。暴れはしないから」


晴は私に笑顔で言うとすぐ舜に向き直った


晴「僕は別に栗原さんが嫌な訳じゃない。ただ、ゆーちゃんを姫から降ろすことが嫌なの。だってそんなことしたらゆーちゃんとの時間減るし、アプローチも限られるしマイナスなことだらけだもん。栗原さんを守る方法ならいくらでもあるでしょ?例えば舜が毎日送り迎えしたり、学校の時はなるべく僕たちといたりすればいいだけでわざわざ姫しなくていいじゃん」


晴は冬休みの時と同じように反対した


尚「…個人的には嫌だけど舜の彼女となると姫にした方が安全ではあるかもね」


陸「…俺も、結衣との時間が減るのは嫌だけど、栗原さんに何かあったら困るし」


そこで私はちょっと疑問に思うことがあった


「ねぇ、二人姫いちゃダメなの?さっきから姫一人すること前提で話してるけど」


私がそういうと


桐「そうか。結衣は知らないんだったな。洸龍の掟で姫は一人にする事って決まってるんだ。過去に二人いたことがあったんだがその時後から姫になった方が自分だけが姫になるために嘘をついてもう一人の姫を追い出したんだ。で、その事を当時の幹部達が知りそれ以降姫は一人にするっていう掟が出来たんだ」


そうなんだ


舜「…桐人はどうしたいんですか?」


桐「…俺は、出来れば結衣を姫から降ろすことはしたくない。下っ端もかなり慕ってるし、混乱すると思うしな。でも、栗原を危険に晒すのも何か違う気がする」


困ってるな。私は辞めてもいいけど晴が嫌がるだろうし、混乱も起きるだろうからな


私を姫にしつつ紗奈を守る方法ないかな?


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