闇を抱える蝶と光輝く龍
【桐人said 】


最近俺はモヤモヤしていた


スキーの旅行の一日目の夜、眠れなかった俺はエントランスで椅子に座りながら時間を潰していた


エレベーターの音が聞こえてそっちを向くと結衣が降りてきた


結衣?なんでこんな時間に…


不思議に思いながらも声を掛けようとしたら


尚「あ、結衣ちゃん!こっちこっち」


なんで尚までここにいるんだ?


距離があるため内容は聞こえない


すると尚が結衣を抱き締めた


「…ウソだろ?マジか…。」


まさか結衣と尚か付き合ってるなんて


全く気づかなかった


でも、思えば尚は結衣に過去を打ち明けてから


かなり結衣のことをよく見ていた気がする


その時のことを考えながら俺は翔と一緒に購買に向かってる


翔「で、桐人は俺に何を聞きたいんだ?」


すると突然翔が話しかけてきた


「は!?なんだいきなり」


翔「とぼけんなよ。購買に買いに行くのにわざわざ俺を指名してきたのは俺になにかを聞くためだろ?じゃなきゃ、お前が俺を指名するなんてあり得ねえし」


さすが翔。よく俺らの事知ってる


下手したら結衣より俺らの事知ってるかもしれない


翔「まあ、お前の事だから聞きたいことは結衣絡みだろうけど」


「…っ!?」


そこまでバレてんのかよ?


さてはエスパーか!?


「………」


翔「やっぱり図星か」


「あぁ。その通りだよ」


俺は観念して肯定した


翔「で?もう一度聞くけど桐人は何を聞きたいんだ?」


「…結衣、最近誰かと付き合ったって報告してねぇか?」


敢えて名前は出さずに聞いた


すると


翔「………は?」


ん?なんで驚いてんだ?


翔「結衣が誰かと付き合ってる?そんな話しは結衣からもほかの奴らからも聞いてねぇよ」


「は!?マジかよ」


てっきり夢蝶には話してるものかと思ってたのに


翔「っていうか、なんで桐人はそう思ったんだ?」


「それは―」


俺は翔にあの夜の事を話した


< 323 / 357 >

この作品をシェア

pagetop