闇を抱える蝶と光輝く龍
バタン


俺はドアを閉めその場に座り込んだ


頭の中はさっきの結衣の言葉が響いていた


嫌い…キライ…きらい


「ハハ…なんだ俺嫌われてたんだ」


全然気づかなかった


初めてバイクに乗せた時も嫌がってなかったし、体育祭の時も借り人競争で俺を借りに来たりしてたし、相原組の抗争のときに意識失う前に大好きだよって言っていたから俺は結衣に好かれていると思ってた


自惚れてだけか


バイクの時は少し強引だったし


体育祭は俺がたまたま総長だったから選ばれただけ


抗争だって俺にじゃなくて俺以外の洸龍か夢蝶に言っていたかもしれない


朦朧としていて俺が違う誰かに見えたのかもしれない


はぁー。想いを伝える前に失恋するって結構きついな


結衣を困らせたくはないから距離を置くことにはしたけど


結衣への想いはしばらく消えそうにない


俺、結衣のこと諦められるかな


でも、俺が幸せに出来ないなら


せめて幸せになるように祈るしかない


結衣はもう十分すぎるほど地獄を見た


だからもう幸せになっていいはずだ


結衣…どうか幸せになってくれ


【桐人said end 】
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