闇を抱える蝶と光輝く龍
でも、お母さんはちゃんと事の重大さは理解しているみたいだった


桜「出所したらもう一回賢人さんと話そうと思うの」


「うん。きっとお父さんも聞いてくれるよ」


慶「俺からも母さんがこんなことした経緯を父さんに話しておくからたぶん今度は聞いてくれると思う」


桜「結衣、慶もありがとう」


お母さん、今度は道をはずさないね


慶「俺が聞きたかったのはこれだけ。結衣は?」


「…私も慶にぃと同じこと聞こうとしてたから大丈夫」


慶にぃ「そうか。じゃあ、俺らはこれで―」


桜「ちょっと待って」


私たちが立ち上がろうとするとお母さんがそれを止めた


桜「ひとつだけ二人に言いたいことがあるの」


お母さんは一呼吸した


桜「私の言えたことではないけど二人は後悔のないように生きて。私みたいにならないようにいつでも我を忘れないで、言いたいことはちゃんと言葉にして相手に伝えて、そして冷静な判断を怠らないで。二人ならきっと出きるわ」


お母さん…


「分かった胸に刻んでおくね」


慶「肝に銘じておく」


私と慶にぃがそう言うとお母さんは安心したように微笑んだ


桜「じゃあ、二人とも気を付けてね」


こうしてお母さんとの面会は終わった
< 344 / 357 >

この作品をシェア

pagetop