闇を抱える蝶と光輝く龍

ガチャ


「ただいまー」


慶「ただいま」


賢「お、結衣、慶おかえり。二人一緒だったんだな」


慶「父さん、実は今日母さんに会ってきたんだ」


慶にぃがそう言うとお父さんは少し固まった


賢「……桜にか？」


さっきより声のトーンが下がった


慶「…あぁ。気になることがあったからな。それを聞きに」


賢「…そうか」


お父さん、怒ったかな？


賢「で、気になることの真相は聞けたか？」


声は低いものの表情は穏やかだ


怒ってはいないみたい


慶「聞けたよ。で、その事で父さんに話しがあって帰ってきたんだ」


賢「…そうか。その話しは後で聞こう。その前にこっちの話し聞いてもらっていいか？」


お父さんは声のトーンを戻して私たちに聞いてきた


「うん。で話って何？」


するとお父さんは私たちにをソファーに座らせてテーブルにひとつの紙をおいた


賢「これを見てくれ」


私と慶にぃはおかれている紙を見た


「これって…戸籍？」


慶「父さんいつの間に？」


私と慶にぃは戸籍謄本を見て驚いた


賢「結衣は知らないかもしれないが相原が抗争前に言っていたんだ。“血筋も戸籍上も結衣の家族は俺だ”ってな。実は俺と桜は万が一に備えて養子縁組研修を受けていてな。慶が結衣を連れてきた時に桜に養子にしたいから手続きするように頼んでいたんだ」


え？そうなの？


慶「なんでそんな早くに養子にしようとしたんだ？そのときはまだ喧嘩も覚えていなかったし、強いことも知らなかったよな？」


賢「身体のアザだ。普通なら傷がつかないところにもアザがあったし特に服で隠せるところには古い傷から真新しい傷まであったから虐待されてることは一目瞭然だったよ。だから虐待されてるなら返すよりこっちで育てた方が結衣のためになると思ったんだ」


そんな早くから分かってたんだ。てっきり誤魔化せていると思っていたのに


賢「桜は“手続きした”って言ってたから戸籍は同じになってると思っていたがまさか手続きしてないとは思ってなかったな」


慶「じゃあ、これは……？」


賢「これは抗争の後、俺が手続きしてきたんだ。本当は特別養子で相原との親子関係を断ち切りたかったが、結衣の年齢だと出来ないらしいから普通養子になってしまったがな」


お父さんは申し訳ない顔をしてたけど