闇を抱える蝶と光輝く龍
嬉しい…


これで私はこれからしっかり“三国結衣”と名乗っていける


あ、でも…


「手続きしてなかったなら今まで私の姓が書類と戸籍と違うって誰も気づかないなんておかしくない?一人ぐらい気づくと思うけど」


慶「多分、母さんが組の権力使って口止めしてたんだろ?学校関係の事は母さんがやってたからな」


なるほど。それなら納得かも


賢「まぁ、とにかくだ。これで結衣はもう三国の人間だし、俺の娘だからな」


慶「そうだな。結衣は俺の妹だ」


お父さんと慶にぃはとびっきりの笑顔で言った


お父さん…慶にぃ…


「ありがとう!お父さん。慶にぃ」


私は二人に抱きついた


賢「あ、それで慶の話しとは?」


慶「あ、そうだった。実は母さんがあの抗争に協力したのは、結衣に三国グループを継いでほしかったからだったんだ」


賢「ん?結衣に会社を継いでほしい?それが抗争と何の関係があるんだ?」


慶にぃはお母さんから聞いた話をお父さんに話した


慶「―で母さんは冷静な判断できる状態じゃなかったからあんなことになったってことだ」


賢「なるほどな。俺にも非があるってことだな」


お父さんは目を伏せていった


慶「それでだな。父さん、俺は母さんの願いを叶えてやりたいと思ってる。だから結衣は三国グループの後継者にして俺を三国組の後継者にしてほしい」


慶にぃはそう言ってお父さんに頭を下げた


「お父さん、私からもお願いします」


私も頭を下げた


賢「……慶、三国組をつぐということがどれだけ重要なことか分かってるのか?」



慶「あぁ。分かってる」


賢「族の総長と比じゃないんだ。責任も人数も全然違う。中には家族の命すべて三国に預けてる奴もいる。それを知った上で慶は三国組を継ぐ覚悟があるか?」


慶「あるよ。俺は、ここに生まれたときからその覚悟をしていたつもりだよ。それに、これ以上結衣を闇に引き込みたくない」


賢「結衣もそれでいいのか?会社を継ぐなら経営を学ばなきゃいけないし、信頼関係も一から作らなきゃいけなくなるぞ」


「うん、分かってる。ちゃんと経営学を学ぶし信頼関係も作る覚悟もしてるよ」


私はお父さんの目をそらさずに言った


賢「……そうか。二人がちゃんと覚悟があるなら俺は反対しない。後悔はするなよ」


お父さんは笑顔で言った


やった!認めてくれた


慶「やったな。結衣」


「うん!」


そして、この日から三国組次期組長は慶にぃになり、三国グループの次期社長は私になった
< 348 / 357 >

この作品をシェア

pagetop