闇を抱える蝶と光輝く龍
【結衣said】

尚「これが僕の過去。すごく複雑でしょ?」


尚は明るく言ったけど表情は切なげだった


尚「今でもね、あの時のことがたまに蘇ってきて、その度に罪悪感を感じて辛くなるんだ。僕弱いね」


そういうことだったんだ


「尚ってバカだね」


尚「え?」


予想外だったのか尚は目を見開いてた


「だって今の話だと尚は何も悪くないじゃん。ただ、晴と性格が違っただけでそれを他の人が偏見で見てただけでしょ。それに、尚は晴のために性格を変えようと努力して今もそれを維持している。それってすごいと思うよ。だから辛くなる必要も罪悪感を抱く必要もないよ」


私が笑顔で言うと


尚「本当に結衣ちゃんって不思議な子だよね。今までの女の子は“そんなことないよ”とか“弱くないよ”みたいな気休め言葉しかくれなかったのに、結衣ちゃんはやっぱり他の子とは違うね。ありがとう、聞いてくれて」


尚は今までの中で一番の笑顔だった


「ううん。こちらこそ話してくれてありがとう。じゃあ遅くなると桐人達に怒られちゃうから早く買って屋上に戻ろう」


尚「うん。そうだね」


私たちはみんなに頼まれたものと飲み物を買って屋上に向かった
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