闇を抱える蝶と光輝く龍

【陸said】

俺は過去を話す前は結衣のことまだ認めていなかった


女なんてみんな一緒


自分の都合のいいように人を利用する生き物


結衣もそうだと思ってた


確かに結衣みたいな奴は見たことないけど


でも、どうせ中身は他の女と一緒だと思った


屋上に行って桐人からの姫の誘いを断ったとき


俺は驚きと同時に安心した


だって女と関わらなくて済むから


でも、桐人は結衣のことを気に入ってしまったらしい


あの顔は絶対そうだ


桐人は次の日の結衣を倉庫に連れてきた


なんか不思議だな


女がいるのに全然嫌じゃない


むしろいつもより賑やかで楽しい


おかしいな。前までは女がいると居心地悪くなってたのに


いや、こんなの一時的な気の迷いだ


すぐ嫌になるはず


翠月に拐われて姫にするとき受け入れたのも桐人が気に入ってて絶対諦めないと思ったから


多分結衣は受け入れた理由は分かってないと思う


その後も結衣が一緒で嫌になることはなかった


でも、それを俺は気づきたくなくて知らないふりをした


その時俺はあることを思い付いた


こいつだって俺の過去を聞いたら他のやつと一緒で同情するだろうな


そう思って俺は結衣がバルコニーにきた時に話した


でも、帰ってきた言葉は


結「…そっか。そういうことだったんだ」


同情ではなく納得したような言葉だった


俺は驚いて


「……えっ」


思わず声が出てしまった


結「なに？」


結衣は俺の言葉に気がついて聞き返してきたから


「……同情しないんだね」


素直に思ったまま言ったら



結「陸は同情されたかったの？」


また質問された