絶望するにはまだ早い!!
プロローグ
「おつかれさまでした」
あっ、また私のことを見なかった。
フロアを回って挨拶をしていると、ふと感じることがある。
まっすぐ前を向いて、パソコンのディスプレイとにらめっこしている営業さん。
そのあまりの不自然さに、否がおうにも気付いてしまう。
私は無視されている、という事実に。
気付いて、誰にも分からないように溜息を一つ。
フロアから出て階段を下りる。
一月の空気は冷たくて、必要以上に身に沁みた。
玄関ホールでたまたま会った女性事務員にも無視され、完全に顔が下を向く。
どうしてなんだろう。
なかなか上手くいかないな。
難しいな、人間関係って。