絶望するにはまだ早い!!
女性はしきりに首を捻りながら言った。
「いやぁ、同じもの頼んだはずなんだけど、中身が違ってたのかなって。でも私には同じに思える」
言っている意味がわからない。
同時に運ばれてきた二つのジョッキ。
たぶん中身は同じビール、ケストリッツァーだった(と思う)。
見た目も同じように黒かったし、どう考えても同じビールだろう。
しかもこの人に至っては、無遠慮に両方とも飲み干したではないか。
この人がよほどの味音痴でもない限り、首を捻るまでもなく同じものだとわかるはずなんだけどな。
或いは、酔っ払っちゃってて自分の行動がよくわかっていないとか。
自分の考えに思わず笑っちゃいそうになっていたその時、耳に飛び込んできたのはこんな声。