絶望するにはまだ早い!!
ほぼ空のジョッキを無言で見つめていると、「いけね」と言って手が伸びてきた。
「同じの二杯貰えるかな」
隣席の女性がジョッキを頭の高さに掲げながら大きな声で言った。
それは遠慮なく発された紛れもない注文で、即座に「ありがとうございます。少々お待ちください」とバーテンダーの声が返ってきた。
あれこれ考えていたのが馬鹿らしく思えるほど、簡単に通った注文。
私には、できなかった。
たったそれだけのことで落ち込みかけたけれど、すぐに気持ちを立て直した。
「ありがとうございます」
「いえいえ。勝手にごめんね」
さほど悪いとも思ってなさそうに言いながら、自らの前に置かれていた皿をこちらへと滑らせる。
「これもオススメなんだけど」
目の前の皿に目を移すと、これでもかってくらい太めなソーセージが一本コロンとのっていた。