泡沫月
プロローグ
淡く、儚く、水面に浮かぶ、月。
私と君の恋。
まるで、泡沫の、恋。
水面に浮かぶ月に、いくら手を伸ばしてみても、掴める訳がない。
スルリと指の隙間から零れ落ちていく、君という存在。
あんなにも近くにいて、あんなにも笑いあったのに、どうして今、君は隣にいないのでしょうか。
それでもいつか、君の隣に戻れると信じて、私は空に浮かぶ月を眺め、手を伸ばす。
月に、君を重ねて―――。