愛してるの響きだけで
パン屋さんに寄ってパンを買ってもらった帰り道
丁度太陽が沈んでいくようでとても綺麗だった
そろそろ家に着く
寂しいな、と思いながらも彼とあれが良かった、あそこにまた行きたいと話す
「なぁ、ハル」
「ん?」
「俺たちこれからもずっと一緒にいような」
「うん、離れたいって言ったってぜーったい!離さないよ!」
「それは怖い」
クスクスと笑う嫌そうで、でも幸せそうな彼の顔
手加減はしてくれと諦め半分に彼が言う
勿論と返せば俺もお前を離さないとカッコつけた顔で返してくる
その顔が面白くてつい笑ってしまう
「もうどーして欲しいの」
「お前も俺もお互いを手放さなければそれでいい」
「当たり前でしょ」
彼と繋いでいた手を離して彼より少し先に道を行く
「愛してるよ」
心から言ってみたものの恥ずかしくなって彼を置いて更に先を行く
ちょっと待て!
と聞こえる声を無視して顔の火照りがなくなるまで
「またね!」
と自分の家に逃げ込んだ
今は顔合わせられない
そのまま帰ってもらって後でメールしよう
今日はごめんねって
そんな考えを壊すように彼が外から叫ぶ
「俺も愛してる!!」
私は幸せ者らしい