甘い脅迫生活
ライバルは敏腕専務
「根ほり葉ほり聞くつもりはありません。しかしですね、これはあまりにもじゃないですか?」
「すいません。」
「他のモブ……いや、所長とかならまだしも!私、先輩とはすごく仲が良いとばかり思ってました。」
「いや、間違ってないよ。さえちゃんは私の一番の仲良しだよ。そして所長をモブと言っちゃだめだよ。」
「じゃあなんで黙ってたんですか?」
「それはですね、事情がありました。すいません。」
取り調べは、優雨に出されたクッキーと今度は紅茶を前に行われた。
話し合いの結果、この配送所の全員が知ってしまった私と優雨の関係の詳細については、代表で私と一番仲の良いさえちゃんが聞き出すことになったらしい。
みなさんがせっせと業務をこなす間、超特急で自分の分の仕事を終えたさえちゃんは、ここ、事務所に茶菓子と一緒に私を軟禁。所長まで追い出してしまい1対1で、休憩という名の尋問タイムに突入した。
「一言!私は一言だけ聞きたいんです!」
「あ、うん。答えられることなら、答える。」
眉間に皺を寄せるさえちゃんが、机をバンッと叩いて私に顔を近づける。その距離はキスができそうなほど近くて、少しドキッとしたりして。
「先輩。」
「……はい。」
なんとなく緊張してしまう私を他所に、怒り心頭のさえちゃんは空気を大きく吸って、息を止めた。そして、放った質問は。
「社長って、ドМって本当ですか?」
「へ?」
物凄くゲスなやつだった。