甘い脅迫生活



結局昨日は遅く寝てしまったせいで朝は二度寝三度寝。二度寝の時って確かに意識は起きているのに、頭は眠ってるって変な感じ。


朝はお味噌汁作ろうと思ってたのにな。インスタントのスープでいっか。あ、でも夜セットしておいたご飯と合わないかな?卵焼きのつもりだったけどスクランブルエッグにしよう。醤油味にすればご飯でもいける。


それだけじゃおかずが足りないよね。しまった。野菜炒めを作る時間がない。


……佃煮とか引っ張り出せばいっか。



そんなことをまどろむ意識の中、途切れ途切れながらも考える。


そして本当に起きなきゃいけない時間に鳴ったアラームを止めながら、ため息を吐いた。



結局朝は手抜き朝食。お金をもらっているのに申し訳ないなと若干の罪悪感。



「おはよう。」

「おはようございます。」


優雨が目をこすりながら寝室から姿を現した。頭はボサボサ。高級感溢れるパジャマを着ていてものすごくイケメンでも、さすがにちょっと残念さが漂う。


少し伸びた髭が更に情けなさを煽ってこの人、ニートになったらずっとこんな感じっぽいなと笑ってしまう。


なにやらまだもごもごしている優雨は、右に左に揺れながらなんとか食卓机に座った。



「はいどうぞ。」

「ん。」

「ご飯手抜きですいません。私も朝起きれなくて。」

「いいよ。十分だ。」

「コーヒーは飲みます?」

「食後に頼む。」



まだ目が開いていない優雨の前に次々と物を置いていく。そんな状態なのにきちんと私の質問には答えてくれるから不思議だ。



< 116 / 185 >

この作品をシェア

pagetop