甘い脅迫生活




だけど優雨は、そんなことを気にする素振りもなく、そして伯父さんの方を見ることもなかった。


きっと確執がどうの、という噂は本当なんだろうな。だとしたらなんで、ここに呼んだのか。


両親のイチャイチャタイムは放っておけば収まる。諦めて残りのワインを一気に口に入れた。



「これは、どういうつもりだ?」



低い声が室内に響き渡った。突然立ち上がった伯父さんに驚いて、思わずワインをごくりと飲んでしまう。



「ゴホッ、ゴホッ、」

「美織!大丈夫?」



思わずむせてしまうと、優雨が心配そうに駆け寄ってくれた。


「ゴホッ、ごめっ、ゴホッ、」

「もう。慌てて飲むからよ。悪酔いしても知らないわよ?」


人が苦しんでいる横で、お母さんが優雅にグラスを煽ってそう言った。ちょっと、他人事過ぎない?


「だから!これはどういうつもりかと言ってるんだ!」


突然叫んだ伯父さんが机を叩いた反動で、周辺の食器が激しい音をたてる。幸い、倒れたりはしていないみたい。


「おい!彼女はどうなってる!」


私たちの答えを待っていないのか、返事も聞かずに伯父さんは伯母さんに向かって声を荒げた。



「もうすぐ来るはずですけれど。」


常に不機嫌な伯母さんがスマホを手に持ってそう答えた時、ドアがノックされた。





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