甘い脅迫生活
「っっ、」
射るような、視線。
「美織、分かってるわね?こうなったのなら、幸せになりなさい。」
「う、うん。」
決して睨みつけているわけじゃないのに、その視線は私の何かを探る。
「では、ごきげんよう。」
「じゃあな美織。近い内に一緒にご飯食べに行こう!」
笑顔のお父さんにぎこちなく手を振った。
なんだろ、なんとなくなんだけど、うん。
……色々、バレている気がする。
閉じられたドア。室内はまだ空気がピリついている。
「ねぇ。」
「へっ?」
そんな中、呼ばれた方を見れば、やっぱり緩い雰囲気の専務が私に手招きしていた。とりあえず赤黒い顔でドアを睨んでいる伯父さんが怖いし、癒しを求めてそっちへ行ってみる。
近付いてみればやっぱり、見た目は明らかにきつめのバリバリキャリアウーマンって感じなのに、専務の醸し出す雰囲気はとても柔らかい。
西園寺フードの専務になるくらいの人なのに、うっかり和んで一緒にお茶でもしてしまいそうだ。
これが手なんだろうか。なるほど、優雨の元カノだけあるな。すっごく魅力的だ。