甘い脅迫生活




私が言いたい。何しに来てるわけ?こいつら。と。


配送部は力がいるからか男性社員が多い。それは女性蔑視というわけじゃなく、適材適所にそうした結果、このような構図になるのは当たり前のこと。


その中でもやっぱり、女性社員の細やかさは必要なわけで。数人程度ではあるけれど、女性も採用されることもある。


ここは男性社会だからか、みんな少ない女子社員にはとても気を使っている。



所長や副所長が気にしいなのもあるけれど、みなさん基本優しいから。だから言えない。どう考えても仕事をできていないこの子たちに、誰も注意することができない。



この人たちもまったく仕事してないわけじゃないんだけど……その割合が少ないだけ。


「山田さん、この書類の数字が間違ってるんですが。」

「え、うっそ。」


いや、うっそじゃないし。ここ間違うのはまずいでしょ。小さなスーパーに梅干し8万個送ってどうすんのよ?


「書き直してもらえますか?今日中でお願いします。」


「は?」



今日の終業までに終わらせなくちゃいけない案件を、今日中と言うのは当たり前のことで。そしていくらこの人がミスをしたからといって、とげとげしく言わないように心を砕くのも当たり前のことだ。



「ちょ、今日はもう無理なんですけど。」

「……。」


勿論、あと1時間で終業なのも承知の上で、ここ直すくらいなら5分で済むから頼んだわけで。それなのに顔を険しくさせてそう言う山田さんに目を見開いた。





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