甘い脅迫生活
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今までののんびり具合が嘘なほど、緩やかに変化していた私の周りは、一気に騒がしくなっていった。
週末の度に訪れる、パーティー、パーティー、パーティー。
華やかなその世界は、初めて見る私には眩しすぎるほど。そして、パーティーに出席している人たちも、後光が見えるほど輝いていて、優雨がどこぞで買ってきたドレスに”着られている”私じゃ、愛想笑いをするので精一杯だった。
そして、感じたのは、違和感のみ。
「お綺麗ですね。」
「可愛らしいわ。」
「素敵な奥様ですね。」
私自身が思っていないことを、会う人、会う人が、第一声で言ってくる。それに、私に向かって言っているはずのそれは、全て筒抜けて、優雨へと向かっていた。
ここに確かに私はいる。それなのに、パーティーに出席しているどの人たちも、優雨を見ていた。
あの時、巡回の時に初めて見た笑顔を張り付けた優雨は、相変わらず愛想のない山田さんを引き連れて、次々と来る人々の挨拶に答えている。
そんな優雨に腰を抱かれた私は、優雨に向けられた自分のお世辞にお礼を言って、愛想笑いをして。
なんだか、変な話よね。