甘い脅迫生活
子供というものはひねくれているようで、親には従順だ。
借金を背負った家庭の子供が何をするわけでもないのだろうに、学校の友達の親たちは私と付き合うなと言い合った。
そこでまた役にたった。
「恐怖を感じないというのは、孤独に怯えることもない。将来への不安も、感じることなく前を見ていられる。」
あれ?それなのに、私は……
「これまで私は、頑張ってきたんです。なのに、どうして。」
なんで私は、優雨のことになるととても恐くなるんだろう?
そもそも自分が脅迫に屈してしまったことも不思議だった。確かに借金は返すのが遅くなるけど、いつもの私なら、結局はどうにかなるかもしれないと、あっさり会社を辞めていたはず。
「もしかして、君か?」
「え?」
朦朧とする意識の中、驚いた様子のおじさんが私を見つめている。
「俺に依頼した人が言ってたんだ。あの男は、若い頃、他人を誘拐した奴らを葬ったと。15歳の時から気に入らない奴には容赦がない。自分も危ないのなら、その、君も道連れに、すると。」
思い出していた。警察と一緒に入ってきた綺麗な青年のことを。